海外投資で「HSBC香港」の口座を開設する必要はあるのか?

海外投資の注意点

海外投資を考えた時、「HSBC香港」に口座を開設した方が良いか迷っている方も多いかと思います。

日本人顧客も多く、代表的な海外口座として知られる「HSBC香港」ですが、実は口座を開設してもあまりメリットがありません。せっかく口座を開設しても、残念な結果になってしまった人が多くいるのです。

この記事では、「海外投資でHSBC香港の口座開設はメリットがあるのか」、「開設した場合のデメリット、注意するべき点」もあわせて解説していきます。海外の口座開設を勧められて迷っている方は、この記事を読んでじっくり考えてみてください。

「HSBC香港」とは?

HSBCホールディングスは、1991年に設立された世界最大規模のメガバンクグループです。

イギリスに本社がありますが、1865年に香港で設立された香港上海銀行を母体としており、その中でグループ最大の売上を生み出しているのが「HSBC香港」です。

海外銀行はマン島やケイマン諸島、香港、シンガポールなど、タックスヘイブンと呼ばれるさまざまな国と地域にあります。その中でも日本人にとって一番近く、人気があるのが香港です。特に、「HSBC香港」が口座開設の最有力候補となってきました。

「HSBC香港」に口座を持つメリットは?

次に、HSBC香港のメリットを解説していきます。

世界中の多くの支店で現地通貨を引き出せる

世界中に支店があるため、米ドルとして預け入れていても、現地の通貨で引き出すことができます。海外旅行、出張、留学などの場合でもとても便利に使うことができます。

これは両替するよりも簡単で手数料も少額なので、メリットがあると言えるでしょう(ただし海外送金に関しては銀行間で高い手数料が掛かります)。

また、HSBC香港のキャッシュカードは銀聯ぎんれんカード(*UnionPay)が提携しており、2020年8月時点で世界179の国や地域でデビットカードとしても使えます。提携ATMでは割安な手数料でお金を引き出すことが可能です。

*銀聯ぎんれんカードは、UnionPayとも呼ばれる中国最大のクレジットカードのブランドで、VisaやMasterと並ぶ国際カードブランドです。

複数の通貨を預金、両替ができる

現在は口座開設すると12種類(香港ドル、米ドル、オーストラリアドル、ニュージーランドドル、カナダドル、ユーロ、ポンド、スイスフラン、シンガポールドル、タイバーツ、日本円、一部中国人民元など)の通貨を預金、両替することができます

ただし、投資先と考えた場合、外貨預金の金利は思いのほか高くありません。

それはHSBC香港だけでなく、政策金利で変動する他の銀行も同じなので、金利が高いと勧められて口座を開設すると、がっかりすることになるかもしれません。

株、債券、投資信託など金融商品へ投資できる

HSBC香港では「普通口座」の他に「投資口座」があり、この口座開設により株や債券、投資信託などへ投資ができます

口座開設ツアーなどでも、この投資口座を勧めているようですが、商品の手数料がかなり高い上、銀行が扱う投資先はあまり種類がなく、資産運用のための良い投資先とは言えません。

それよりも海外投資を考えるなら、優良なIFA(独立系投資アドバイザー)を通し、海外積立投資や海外生命保険の加入を考えた方が、圧倒的に優れた資産運用が期待できます。

「HSBC香港」で口座開設するデメリットは?

続いて、HSBC香港で口座開設するデメリットについて解説していきます。

口座にはランクがあり一定額を入金しておかなければならない

2021年11月現在、HSBC香港には4つのランクがあり、口座開設時に最低預金額が決められています

・Jade(ジェイド:法人・富裕層向け):最低入金額1.3億円
・Premier(プレミア):最低預金額100万HKD(約1464万円)、維持手数料約6千円
・Advance(アドバンス):最低預金額20万HKD(約293万円)、維持手数料なし
・Personal Integrated(パーソナルインテグレテッド ):最低預金額1万HKD(14万6千円)
*2021年11月現在

まずは一番下のパーソナルでHSBC香港の口座を作りたい方もいると思います。

ただ、今まで日本人が少額で口座を作り放置した結果、日本人の口座開設はとても難しくなっています。そのため、日本人の口座ランクはアドバンスからとなっています。

アドバンスであれば、金利があまり高くない口座に最低でも300万程度は入金しておく必要があります。積極的に活用する目的がないと、資金は活かされないことになってしまいます。

口座開設ツアーについて

「海外口座は投資に最適」と言って、15年ほど前から日本人向けに「香港で海外口座を開設する」といった企画で、観光を兼ねたサポートツアーが組まれていました。

しかし、実際には高額のツアー費用を支払って口座開設したものの、その後のサポートはなく、よくわからないまま手数料だけ引かれ続け、口座が凍結してしまったといったことが頻繁に起こっていました。

入出金などの取引がないと口座が凍結してしまう

HSBC香港の口座は、入出金や預金などの取り引きが2年以上ないと、預金が残っていても口座が凍結されてしまいます

そして、そのまま放置すると、最悪の場合は強制的に解約されてしまいます。口座凍結や解約されてしまうと香港へ出向く必要があり、非常に面倒なことになるのです。

英語、中国語が話せないと手続きができない

手続きををするためにはHSBC香港に電話する必要があります。HSBCはメガバンクのため、まずコールセンターにつながります。なかなかつながらない上、聞き取りにくい英語での会話は英語が苦手な方にとって、とてもハードルが高いと感じられるでしょう。

また、銀行に電話がつながっても英語か中国語が話せないと意思の疎通ができず、変更や解約などの手続きを行えません。

まとめ【海外投資が目的なら「HSBC香港」に口座は要らない】

一見するとメリットがたくさんありそうに見えるHSBC香港の口座開設ですが、あくまで銀行としてのメリットであり、海外投資先としてはお勧めできるものではありません(海外出張が多い方や留学・海外赴任先で口座が必要な場合には、とても良い銀行かと思います)。

また、人気である海外積立年金や生命保険の決済は銀行を通さなくてもクレジットカードで行えるため、数々の手間を掛け苦労してまで開設する必要はまったくないと言えるでしょう。

海外投資のためにHSBC香港の口座開設で迷っている方は「何のために口座が必要なのか?」ということを改めて考えてみてはいかがでしょうか?

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