HSBCの口座を開設する必要はあるのか? リスクやデメリットも解説!

海外投資の基礎知識

資産運用の一形態であるオフショア投資においては、日本円以外での通貨の保有または積立投資といった多様な戦略が実施可能です。そして、いずれの手法を採用する場合でも、海外口座の開設が不可欠になります。

このオフショア口座のなかでも知名度が高く、代表格となっているのが香港にあるHSBC銀行です。

そこでこの記事では、「HSBCの口座開設」とそれに不随する「リスクやデメリット」について紹介したいと思います。はたしてHSBCの口座を開設する必要はあるのでしょうか?

オフショア口座の開設

まずはオフショア口座の開設ですが、これはHSBCを含めて現地の銀行に赴くのが一般的です。なお、HSBCはグローバルに展開している銀行ですが、なかでも香港は東京から約4時間という立地の良さから口座開設の定番となっています。

さて、現地における実際の開設手続きですが、一般的にはすべての工程を代行業者に外注するのがスタンダードとなっており、また最も効率的と言えるでしょう。

というのも、申込書類への記入や銀行スタッフとのやり取りはすべて英語で行われるからです。例えば、住所証明についてはパスポートなどを英訳しなくてはならず、ある程度英語に精通していなければ非常に困難な作業となるでしょう。

こうした大小さまざまな手続きに要する時間的コストは想像以上であり、代行業者への依頼は時短やストレス減といった面からも妥当でしょう。

ちなみにグローバルに支店があるHSBCは香港以外、例えばシンガポールでも口座開設は可能です。ただ、現地での在住証明が要求されるなど、国によって条件が異なることに注意しましょう。

HSBCでは開設口座のグレードに注意

さて、HSBCで口座を開設するにあたって最初に注意したいのは口座のグレードです。本銀行のオフショア口座には3種類のグレードがあり、それぞれサービス内容が異なります。なかでもポイントとなるのが、下記にまとめた最低預金残高の違いです。

パーソナルインテグレーテッド:約15万円
アドバンス:約300万円
プレミア:約1500万円

当然ながらこれらの設定金額が高いほどサービス内容は充実します。

例えばプレミアでは、施設におけるネットスペースの使用、投資のアドバイスなどを受けることができます。しかしながら、もし残高が設定金額を下回った場合、高額な手数料が差し引かれるデメリットがあるので注意しましょう。

口座開設ツアーのデメリット

上述したように、HSBCのオフショア口座開設においては代行業者の利用が一般的で効率的です。ただ、ここで注意したいのは利便性の裏には必ずデメリットがあるということです。

このネガティブ要因を一つ一つ挙げればキリがありませんが、なかでも有名なのが「オフショア口座の開設ツアー」でしょう。なぜなら、こうしたツアーを企画しているのは、割に合わない費用を請求してくる、いわゆるぼったくり業者だからです。

例えばネットを参照すると、1泊2日のツアーで料金が15~20万円といったものが目立ちますが、この行程を個人で手配した場合の総額は6万円程度です。もちろん、この6万円の内訳には往復チケットおよびホテルといったすべての滞在費が含まれます。

つまり、差し引きの10万円くらいが外注料として請求されているのです。これはHSBCの口座開設が実質的には無料であることを鑑みれば、過剰な請求といっても過言ではありません。

また、この他にも渡航費用が別オプションという悪質なケースも散見されます。ツアー業者による口座開設には、利便性を相殺してなお余るデメリットがあると考えるのが妥当でしょう。

口座凍結のリスク

次はHSBCで口座開設した後のリスクをみていきましょう。

HSBCにはいくつかのリスクがあるのですが、一番に回避したいのが口座凍結です。この口座凍結はHSBCにおいて二段階あり、いずれもその原因は長期間の口座未使用です。

口座のグレードにもよりますが、通常、一段階目では12ヶ月間以上の未使用期間により一部の口座機能が凍結されます。具体的には、残高照会はできるのに出金がリジェクトされるといった内容です。

そして、二段階目では24ヶ月以上の未使用期間により口座機能が凍結されます。この場合、ATMやインターネットバンキングを介した残高照会もできなくなり、当然ながら資金の移動は不可能です。

さらに特筆すべきは、凍結中であっても口座維持手数料が引き落とされるという点です。

HSBCでは上述したとおり、預金残高が一定額を下回るとペナルティとして手数料が発生します。もし凍結と残高不足が重なった場合には、マイナスがかさんで口座抹消という最悪のパターンもあり得るのです。

この口座抹消を避けるには口座凍結の解除が必須ですが、この手続きの労力は非常に大きく、オフショア口座のリスクを底上げしています。なぜなら、基本的にHSBCの凍結解除は窓口に直接赴いての申請となるためです。

つまり、口座開設時と同様に、凍結解除だけのために直接香港まで赴く必要があるのです。これはHSBCに限ったことではありませんが、渡航費用に時間的コスト、解除のための通訳代行など、日本の銀行とは比較にならないほどのリスクが伴います。

まとめ

今回はオフショア口座の代表格であるHSBCの口座開設について詳しくお話してきました。

口座開設ツアーの余計な費用や口座凍結リスクを上回るメリットがあればよいのですが、実際のところはそのようなメリットはありません

以前は「海外で増やした資産をHSBC口座に入れておけばバレませんよ」といった怪しいセールストークもあったのですが、それは嘘です。なぜなら、金融庁はHSBCの口座をすべて把握しているからです(数年前からHSBCが口座情報を開示するようになりました)。

そのため、これから新たにHSBCの口座開設をする必要はないでしょう。海外投資を行うにしても、RL360やインベスターズトラストの積立口座だけで十分です。

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